海の時間 | 読書の時間

銀河列車の悲しみ

著者:阿井渉介
出版社:講談社文庫/講談社
460頁
読了日:2003年5月12日



内容:  ゴジラが誘拐された! その後現れるゴジラに襲われたと証言する銀行員。誘拐された少女のバラバラ写真! そして雪野原に続く2本の筋とその先に木に引っ掛かった蒸気機関車!!
 犯人の目的は? そのトリックは??
 頑張れ被害者! 負けるな受刑者!!
 
 

感想:  図書館の文庫棚の一番初めにおいて有った人の本を借りてきました。なんでも「特捜最前線」とかの脚本を書いていた人が何を思ったか作家になってから何作目かの本らしいです。「薦」と言う名のあとがきで島田荘司という推理作家が「(前略)罵詈雑言の矢面に立つのも、筆者(あとがきの筆者ってことだと思う)の喜びとするところである」って書いているので喜ばせてあげよう。
 推理小説って「今現在存在しない技術を使ってアリバイを作ってはイケナイ」って決まりがあるのかどうか知らないが、密室トリックの回答が「どこでもドア」では推理小説ではないと思う。この小説はソレと匹敵するくらいの事をやっているのが興ざめも甚だしい。機関車を木に引っ掛ける方法も「まさか」と思っていたことを恥ずかしげもなくやっているので超吃驚(本気でソレが出来ると思ってんのか!?)。筒井康隆の「富豪刑事」のパロディとして書かれた「富豪犯人」って小説なら笑って読めたかもしれないけれど。ソレ以前に文章が箇条書きだったり、電車に乗ったとか車に乗ったって描写もなく「電車は○○についた」みたいな書き方をしていて「いつ乗ったんだ?」って何度も頁を遡らされてしまった。そもそも参加した人達の気持ちがさっぱり解らなかったし、犯人の目的もいまいち納得出来なかった。ってゆうか、外国人見て烏天狗と間違えるって、いつの人間やねん!
 確かに映像的なイメージは大変面白いと思うが、まず映像ありきでソレをこじつけて行く段階で「これは無理だな」と思ったらやめる勇気ももって欲しい。(うーん。なんか今回はメッチャ偉そう。たぶん、島田荘司のあとがきがなければこんなに腹立たしくもなかったと思うが)