海の時間 | 読書の時間

不自然な収穫

著者:インゲボルグ・ボーエンズ
訳者:関 裕子
出版社:光文社
329頁
読了日:2004年4月26日



こうしたものは受け入れられるのだろうか?

内容:  『腐らないトマト、農薬より強いダイズ、虫を殺すジャガイモ、37倍に成長した魚……。
 “夢の食品”は本当に安全か? 巨大企業が画策する食物支配』(帯より)
 頑張れ組み換え! 負けるな遺伝子!!
 
 

感想:  遺伝子組み換え食品が安全かどうかよりも倫理的道徳的にどうよ、って問題提起する本でした。豚肉の脂肪分を減らす為に脂肪の少ない動物であるヒト遺伝子を組み込んで低脂肪豚を作るのはどうよ、ってかんじで。それよりもちょっと引いてしまうのが、遺伝子組み換え植物は特許物ってゆうか著作物扱いで農民は遺伝子組換会社から種を買って育てて収穫したらそこから種を取ったり苗を残したりしてはいけなくて、また次の年に会社から買わなければならないってところ。ソフトウエアのコピー禁止みたいな事をやっているわけだ。不自然極まりない感じです。もちろん隣の畑が何かの災害で全滅したからと言って苗を分けてあげたりしたら違法コピーです。なんじゃそりゃーって感じです。もちろん植物だけでなく、牛乳をいっぱい出すように作られた遺伝子組換牛もコピー(子供)なんて作らせません。増やしたければ遺伝子組換会社から買わなければならない仕組みらしい。安全かどうかよりもそういう歪んだ資本主義が不自然な感じでした。