海の時間 | 読書の時間

小説 小野小町 吉子の恋

著者:三枝和子
出版社:福武文庫/BenesseCorporation
205頁
読了日:2005年2月15日



いとせめて恋しき時はうば玉の   
    夜の衣をかへしてぞきる

内容:  「様々な恋に懊悩しつつ、情熱的な和歌の才を発揮した六歌仙の一人小野小町、その匂うばかりの人生の奇跡」(帯びより)。
 通い婚の習慣をフルに活用した小町の生涯とは!?
 頑張れ女! 負けるな男!!



感想:  見出しに引用した歌は本文の意訳によると<思い迫って恋しいときには、夜、着る衣を裏がえしにして寝るとその人を夢に見ることができるという、まあ迷信のようなものですけれど、その迷信にすがる他ないわたくしなのです>という事らしいけれど「パジャマを裏返しに着て寝ると彼の夢を見られるかも♪」的な「恋のおまじない」(関係ないけど最近ユリオカ超特Qを見ない)って西洋の黒魔術的なものの流れを汲んでいると思っていたら平安時代から日本の女の子はそんな事ばっかりやってたんですね。それはともかく小野小町です。世界三大美女と言われつつ顔を描いた絵がほとんど残されていないのは絵にも描けない美しさだからだと何かの本で読んだ気がしますがそれでも晩年は散々だったような事が書かれてあったと思います。先日たまたま見たテレビの旅行番組でもそんな伝説の残る地方が紹介されていたようですが、この小説では最後まで小町は「姫さま」で艶やかに死んで行くのでした。最近(でもない)の流行りで言えば完全なる「負け犬」ですが。ってゆうか10年目の真実、福武書店がベネッセになったって奥付を見るまで知らなかった。